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初期モデルvs後期モデル




 前述のように、ホイヤーのごく初期のCal.11搭載モデルを見分けるのは簡単だ。文字盤にChronomaticの文字や、ホイヤーが文字盤の表記がAutomatic Chronographに置き換えられたものでもその他の目印を探せばいいだけだ。これがブライトリングのクロノマチック初期モデルとなると少し識別が難しくなる。まずホイヤーはCal.11搭載のごく初期のモデルだけにクロノマチックという名称を使っていたが、ブライトリングはクロノマチックの名をほぼすべてのモデルで使い続けた。そこでブライトリングごく初期のクロノグラフ識別にはいくぶん慎重な分析と、シリアルナンバーの活用が必要になる。次に、ブライトリングのクロノマチックモデルのカタログはホイヤーと比べ、セレクションの幅がはるかに広い。初期モデルのバリエーションが非常に多いためモデルを確認するのが難しい。

 クロノマチック発売後、ブライトリングはこうした自動巻きクロノグラフのラインナップ開発に力を注ぐようになった。フランクミュラー レディースピッツァケースを採用したカラフルな新型モデルには1970年発売のクロノマチックGMT (Ref.2115)、1971年発売の200m防水を備えたダイブウォッチであるスーパーオーシャン (Ref. 2105)などがある(上の写真)。


 新しいケースにはパルト「ブルヘッド」 (Ref. 2117 上中央) や、一体型ブレスレットとほぼ丸型のケースを備えたトランスオーシャン(Ref. 2119 上左)もある。Cal.15が1972年に登場すると、ファンキーでアシンメトリーな文字盤 (上右) が発売された。もっともブライトリングは、ナビタイマーやクロノマットの新バージョンではよりコンサバな伝統的ラウンドケースに敬意を表していた。


 ブライトリングが1977年に発表した最後のクロノマチックがRef. 2130だ。一見したところ初期のRef. 2110モデルに似ているが、エレガントなライヤー型の(ねじれた)ラグとなっている。

ハミルトンのクロノマチック

ハミルトンは最初のクロノマチックの広告で、同社の遊星歯車機構を備えた超薄型自動巻きムーブメントが、自動巻きクロノグラフを可能にしたと書いている。

 ホイヤーとブライトリングのCal.11腕時計のバリエーションを分類するのは困難かもしれないが、ハミルトンクロノグラフのラインナップは比較的シンプルだ。1969年春の広告に基づくと、ハミルトンは自動巻きクロノグラフを2種類のケースを使い3モデルで発売していた。これらのモデルはホイヤーが、おそらくプロジェクト99の合弁契約の一環としてハミルトンのために生産したものだ。

フォンテーヌブロー(Fontainebleau)

 ホイヤーとブライトリングが落ち着いた伝統的ケースを用いたホイヤーカレラやブライトリング Ref. 2110 から、大胆な形やサイズのホイヤーモナコ、ブライトリング「ピッツァ」ケースまで幅広いモデルを提供していたように、ハミルトンは未来的なスタイルを好む顧客にフォンテーヌブローを提供した。ハミルトンは1966年、男性用と女性用にスタイリッシュなフォンテーヌブローシリーズを発表。この初代バージョン(1966年から) は言葉に表しがたいユニークな楕円形だ 。(ただしここでは以下で言葉にしてみる)第2のモデルは (1967年から) 防水の角型ケースで、ホイヤーモナコの前身モデルと見ることもできるだろう。