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ジラール・ペルゴがアストンマーティンエディションのロレアートクロノグラフを発表

ジラール・ペルゴとアストンマーティンとのパートナーシップを発表後、新たなモデル「ロレアート クロノグラフ アストンマーティン エディション」が誕生した。188本のみが生産される、希少な限定モデルだ。



印象的なグリーンダイアルはアストンマーティンを象徴するブリティッシュグリーンに着想を得ている。両者が生み出す作品を見れば、いずれもラグジュアリーと性能の価値を理解する人のために作られてることは明白だ。


アストンマーティンの歴史の中で最も象徴的な勝利を収めたDBR1
 1900年代初頭から現在に至るまで、レーシングカーには各チームの国籍を想起させる様々な色が採用されており、フランスはブルー、イタリアはレッド、ベルギーはイエロー、ドイツはシルバー、英国はブリティッシュレーシンググリーンであった。アストンマーティンがレーシングカーに取り入れたグリーンの中でも最も有名な例が、1959年にル・マン24時間レースで優勝したアストンマーティンDBR1だろう。このDBR1はル・マンだけでなくニュルンブルクリンク1000kmレースにおいても同年優勝を果たしているのだ。

 現在のモデルにもデザイン要素として度々取り入れられており、2021年4月には世界限定88台を生産する「V12スピードスター」に加え、カスタマイズ仕様の「DBR1」を設定することを発表した。DBR1はモータースポーツでの活躍だけでなく、デザイン面での優雅さでもアストンマーティンの名車としての価値を高める存在と言える。

 現行で販売されている車種の中にも、オプションのグリーン系カラーは特にラインナップの幅が広い。カスタマイズカラーとはなるが「1959レーシンググリーン」は名称にもDBR1が残した軌跡を継承している。

21回も塗り重ね、7層に仕上げられたグリーンダイアル
 今回のロレアートクロノグラフ アストンマーティン エディションのダイアルカラーとして採用されたのも、アストンマーティンを象徴するグリーンだ。21回も塗り重ねられ、7層に仕上げられている。自動車らしさを感じさせる要素は、クロスハッチング仕上げをはじめ、アストンマーティンの「AM」ロゴ(1921年〜1926年)に使用されていた菱形を思わせるパターンからもうかがえる。このモチーフはアストンマーティンの数々の高性能モデルに採用されている“ダイヤモンド キルティング”からも着想を得ている。



自動巻(Cal.GP03300-0141)。63石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径42mm、厚さ12.01mm)。世界限定188本。216万7000円(税込み)。
多彩な形状、仕上げ、色合いの組み合わせが特徴的なロレアート クロノグラフ アストンマーティン エディション
 機能性と美しさを兼ね備え、過去を讃えると同時に未来を見据えるデザインによって両社が共鳴し合い、一流ブランド同士の継続的なパートナーシップの基盤を強めるタイムピースとなっている。

 ジラール・ペルゴのCEOパトリック・プルニエは次のように語った。

「当社のマニュファクチュールには、コラボレーションの長い歴史があり、創業者のジャン・フランソワ・ボットがさまざまな“エタブリスール”を一つ屋根の下に集めて、今日知られる初のマニュファクチュールのひとつを作り上げたことに始まります。アストンマーティンとのパートナーシップは、ふたつの類稀なモデルを生み出しただでなく、ふたつの理念の出会いであり、双方のブランド、そしてチームの真の友情の始まりを象徴するものです。ロレアート クロノグラフ アストンマーティン エディションは両社の相互理解と共通の哲学の証です」

 エタブリスールとは、エボーシュと呼ばれる汎用ムーブメントをサプライヤーから購入し、自社製品に搭載する水平分業型の産業形態を指す。対して、ムーブメントの設計製造までを自社で一貫して手がける、垂直統合型のマニュファクチュールがある。現在でも前者が圧倒的に多いが、創業230年を超えるジラール・ペルゴは時計界屈指のマニュファクチュールである。

 今回のコラボレーションを実現にあたり、アストンマーティンの執行副社長兼チーフ クリエイティブ オフィサーのマレック・ライヒマンはこう付け加えた。

「アストンマーティンとジラール・ペルゴのパートナーシップがより盤石になったことで、同じように互いが共有しているデザイン哲学、控えめなラグジュアリー志向も強まりました。それは例えば、性能には関係ない素材を避けてレーシングカーの理念を連想させるように意図したデザインとなっている、部分的に透かし彫りを施した時針と分針のように、ウォッチ全体の繊細なタッチにはっきりと現れています。同じように、クロノグラフのセンターセコンドには、1958年のアストンマーティンDB4に初めて搭載されたサイドストレークを模したカウンターウェイトが配されています」

ふたつのクロノグラフ積算計とスモールセコンドのインダイアルが文字盤を優雅に彩る。時針と分針のデザインに合わせて、積算針にはすべて部分的に透かし彫りが施されている。それぞれのカウンターの内側はスネイル仕上げとなっており、日付表示の窓は4時30分位置に設けられている。
2017年よりレギュラーコレクションとなった「ロレアート」
 スポーティーな印象を与える八角形ベゼルは、ブランドの象徴である1975年に誕生したロレアートに敬意を表したもので、ジラール・ペルゴのデザイン哲学に則ったケースには、さまざまな形状が巧みに組み合わされている。さらに、エッジ部分をポリッシュ仕上げにしたサテン仕上げと、多くの曲線やカット面が組み合わさって光と反射し、新たな魅力を生み出す。

 ケースは直径42mmの904Lステンレススティール製だ。これは一般的な316Lに比べて高いグレードのステンレススティールで、より高い耐食性、耐傷性、ひときわ光沢が美しい高級感のある外観を得られるといった数々のメリットがあり、サテン仕上げが施されたブレスレットにも使用されている。

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